健康医療データの読み方

ストレートで薬剤師になれるのは半分以下

写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
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 前回は、大学をストレートに卒業し、直後の国家試験(国試)に合格できる医師、歯科医師の割合を紹介しました。

 今回は薬学部について見ていきましょう。

 薬学部(6年制、以下同様)の2014年度卒業生、薬剤師国試受験者数、および合格者数は次のような数字でした。卒業生9642人(うち8027人が6年間で卒業)、国試受験者は8822人(卒業生の91.4%)。そのうち合格者は6221人(合格率70.5%)です。

 既卒者を含めた国試受験者は1万2019人、合格者7312人(合格率60.8%)です。

 既卒者のみの合格率は39・9%に過ぎません。国試は現役合格が鉄則ということです。

 薬学部には、毎年約1万1000人から1万2000人が入学しています。入学者に対する国家試験の新卒合格率は5割台、既卒を含めても6割前後という、ちょっと衝撃的な数字になります。きっちり6年間で卒業でき、かつ国試も一発で合格できる学生は、おそらく全入学者の半分にも満たないと思われます。厳しいですが、これが現実です。

 薬学部は新設ラッシュが続いたため、地方の弱小大学などは、軒並み定員割れ。あまり勉強しなくても、誰でも入れる状態です。

 薬学部の看板に惑わされて、無駄な投資にならないように、親子でいま一度じっくり考えるべきかもしれません。
長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

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