患者に聞け

【胆のう結石】 痛みが右わき腹から背中に移ると同時に激痛が…

激痛に声も出ない
激痛に声も出ない(C)日刊ゲンダイ

「ときどき下腹部周辺に不穏な痛みを覚えていました。食べ過ぎ、飲み過ぎで疲れた胃が原因かと思い、しばらく近所の薬局で買ってきた胃薬を飲んでいたんです」

 都内にあるサービス業系の専門学校で、事務長を務める三田郁夫さん(仮名、58歳)。身長170センチ、体重81キロ。定期の健康診断でメタボと診断されている体形だ。

 昨年の秋ごろから、腹部の痛みを覚えていた。それでも我慢ができないほどではない。

 胃薬を飲むと、なぜか痛みが治まったので、それほど心配していなかった。

 ところが今年2月初旬の深夜、普段の右脇腹だけではなく背中にも痛みが走った。あまりの激痛に声も出ない。

 妻が慌てて救急車を呼ぼうとしたが、住んでいるのは東京・葛飾区内の静かな住宅地。近所の手前もあり、妻が三田さんを抱えるようにしてマイカーに乗せ、近くの総合病院に駆け込んだ。

「ところがその日の日直の先生は内科医ではなく、“満足な検査や治療ができません”と言うのです。“痛み止めの注射をしておきますので、明日もう一度来てください”と帰されました」

 翌日、再び同病院を訪ね、「腹部超音波検査」などを受けた後、担当医から画像を見せられた。

「胆石ですね。正確にはコレステロール系胆のう結石です。内視鏡外科手術で除去しましょう」と説明された。

 画像には、小さなシャボン玉のような物が、重なるようにして写っていたという。

 胆石は、脂肪分の消化を補助するために肝臓で生成された胆汁中の成分(コレステロール)が溶けきれず、石のように固まってしまうもの。固まった胆汁が石のようであったことから、「胆石」と名付けられている。

 三田さんの胆石は胆のうに発生(胆のう結石)していたが、ほかに肝内や胆管にも発生する。痛みが起こるのは、胆石が胆のうから出ようとするとき、臓器に触れるからだ。胆のうなどにあっても痛みが出ない人もいて、見落としてしまうケースも多いようだ。

 ただ、胆石が増えて炎症などが起こると、激痛以外に嘔吐、発熱が生じることもある。

 三田さんの手術は腹部に4カ所の小さな穴を開け、内視鏡で胆石を除去するものだった。手術時間は約1時間20分。

「手術後に胆石を見せられました。14個ぐらいあったでしょうか。先がとがった星の形をしていて、白いものと黒ずんだものがありましたね。黒いのは早くからできていた胆石だといわれました。再発する可能性もあり、規則正しい食生活を心がけてください、とアドバイスされました」

 3日間入院して帰宅。1週間後には普通のサラリーマン生活に戻ったという。

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