夏に増加の「痛風発作」 3つのマイナス要素知って正しく対策

アルコール全般において節制が必要
アルコール全般において節制が必要(C)日刊ゲンダイ

 両国東口クリニック・大山博司理事長(痛風専門医)が、痛風発作で受診した初診患者を5年にわたり調べたところ、5~9月が多かった。夏は痛風発作を起こしやすい。あの“強烈な痛み”に襲われないようにするには、何をすべきか。大山理事長に聞いた。

 夏に尿酸値が上がって痛風発作を起こしやすいのは、3つの理由からだ。

 まず、脱水。

「汗をたくさんかくので体内の水分が失われ、脱水症状になる。すると、尿細管での尿酸の再吸収が増加し、尿酸の排泄が低下して尿酸値が上昇します」

 次に、アルコール。

「アルコールそのものに尿酸値を上げる作用があります。しかも、アルコール摂取は体内を脱水状態にします」

 そして、清涼飲料水や缶コーヒーなどに多く含まれる甘味成分の過剰摂取だ。

「尿酸値を上げることは、実験で証明されています」

 つまり、夏に痛風発作を起こさないようにするには、これら「3つの理由=マイナス要素」に少しでも触れないようにすることが重要になる。

「食生活の影響は、すぐに尿酸値に反映されます。宴会で暴飲暴食をしたら翌日、翌々日には尿酸値が急激に高くなっている。一方で、食生活を改善すれば、すぐに尿酸値も下がる。マイナス要素に1つ該当したからといって、直ちに痛風発作になるわけではありません。少しでも該当しないようにし、該当することがあったら、数日単位で調整することです」

 営業で大汗をかきながら外回り。“最初の一杯”をおいしく飲みたいからと、喉がカラカラのままで焼き鳥屋へ直行。ビールのジョッキを一気に飲み干し、焼き鳥を何本も頼む。

 休日に家族や友人たちとビールを飲みながらバーベキュー。汗と一緒にビールが出ていくようで、一日中ダラダラとビールを飲み続ける──。こうした日が続けば、尿酸値が上がっても仕方がない。

「尿酸値を上げるプリン体が多い焼き鳥、肉、刺し身などを取っても構いませんが、ここに脱水、アルコール摂取、缶コーヒーなどマイナス要素を重ねない。ビールを飲むなら、尿酸値の排泄を促す野菜や海藻類、酢の物などを意識して取るようにしてください。要は、尿酸値が上がりそうなら、同時に下げるようなことをする。バランスが大事です」

 水分の摂取も忘れてはいけない。腎臓機能に問題がある場合を除き、1日2リットル、少しずつ取ることを目安に。

 もちろん、痛風に対して正しい知識を持つことも不可欠だ。

「“尿酸値のためにビールをやめて焼酎に替える”という話をよく聞きますが、ビールがNGなのではなく、アルコールそのものがNG。アルコール全般において節制が必要です」

 尿酸値が高いと、痛風発作だけに注意が向きがちだが、本当の怖さはそこではない。

「動脈硬化が進行し、心筋梗塞などの心血管障害のリスクが上がります。腎臓が悪くなり、人工透析のリスクも出てきます」

 一般的に、痛風発作を起こしてから薬物治療が始まるが、尿酸値が高いことに加え、高血圧や脂質異常などがあれば、痛風発作前から薬の服用が必要なケースもある。

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