どうなる! 日本の医療

重粒子線治療にコストを上回るメリットがあるのか?

 その額はいくらなのか? 放医研の2013年の財務諸表によると、研究業務用水道光熱費は15億9996万円。それとは別に、通常施設の水道光熱費が一般管理費として1450万円計上されている。

「ただし、研究業務用水道光熱費には夜間の共同研究や、がん治療以外の研究に関わるものが含まれていて、重粒子線によるがん治療に関わる施設の電気代は9億2500万円(14年度)です」(放医研関係者)

 13年度の放医研の重粒子線治療の登録患者数は888人。単純計算で1人当たり104万円もの電気代がかかったことになる。

 むろん、放医研は「放射線の医学的利用のための研究」と「被曝医療研究」を行う研究施設。純粋に治療だけを行う施設と同列に考えるわけにはいかない。治療に重きを置いた施設ならば、建設コスト、電気代等の維持費も安くなる。しかも、重粒子治療機器を手掛ける重電メーカーなども研究を重ねて、大幅なコストダウンをしている。

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