天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

自覚症状がなければすぐに手術しなくてもいい

 ニューヨーク心臓協会の治療指針では、「心疾患があっても投薬治療を受けておらず、動悸や息切れなどの自覚症状がない」状態を第Ⅰ度、「階段を上がったり、軽労作で自覚症状が出てくる」状態を第Ⅱ度としていて、第Ⅱ度であっても、薬で症状を抑えられるなら手術を急ぐ必要はないとしています。手術適応になるのは、「自覚症状によって肉体活動が著しく制限され、それを薬でも抑えられない」第Ⅲ期の段階に入ったらと明確に決まっているのです。

 最近は、心臓エコーなどの検査機器の進歩によって、深刻な状況ではない心臓病も見つけられるようになっています。これは、これまでなら見つける必要がなかった段階の患者さんが増えているということでもあります。

 本当に手術した方がいい状態なのかどうか迷っている患者さんは、他の病院でセカンドオピニオンを受けてから判断することをおすすめします。手術をするかしないかだけではなく、外科医には手術の良いタイミングを探すという仕事もあります。より多くの客観的な意見を聞いてみてください。

3 / 3 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。