医療数字のカラクリ

医療数字の「平均」半分の人が治るのは・・・

 では、自分が全体のどのあたりに入るのか、推測しやすい指標はないのでしょうか? あります。それが「中央値」です。

 これはデータを小さいものから順番に並べた場合、真ん中にあたるデータの値です。中央値はデータのばらつきに関係ありませんから、「かぜの治癒期間の中央値が3日」というのであれば、50%の人が3日以内に治ると解釈していいわけです。

 これからデータを見るときには、平均値だけではなく、中央値にも注目して見てください。いままでとは違った面が見えてくるはずです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。