愉快な“病人”たち

料理研究家 重野佐和子さん (52) 大腸がん

(C)日刊ゲンダイ

 でも、そんな重要な決断はすぐにはできないと保留にし、その場を去りました。

 結局私が選んだのは、国立がん研究センター。検査をして問題がなければそれでいいし、がんなら徹底して治してもらえると考えたからです。結果は大腸がん。幸い転移もなく、腸を10センチほど切除しただけで済み、2週間で退院できました。

 ところが術後の治りが悪く、退院して2週間後に腸閉塞を起こしたんです。食事のたびに腹痛になることも多く、食べることが怖い。10キロも痩せて、フラフラ。食が恐怖になるなんてショックで……。腸との闘いは1年ほど続きましたね。

 回復食の本を開くと、「病気なんだからまずいものを食べておきなさい」と言わんばかりの気がめいる献立。病人だけ別メニューで、食が苦行のよう。そこで、家族や友人と一緒に食べられる料理を作って、自宅で友人を招いて食べられるようにしたのです。おかゆを中華風にアレンジしたり、ブイヤベースの鍋にして、最後にリゾットにすれば皆で同じものを食べられる。野菜の繊維の切り方を工夫すれば、腸に負担がかからない、身をもってノウハウを蓄積していきました。

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