介護の現場

弟に生家を譲ったら…

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 確かに母親は80歳に近い高齢である。しかし……。純一さんが言う。

「年を取ったら、誰でも老化現象で少しは日常生活に障害が起こるでしょう。でも、同居している弟夫婦が自宅で母親の面倒を見ることができず、老人ホームに送るほど衰えてはいなかった。これでは、母を捨てたのも同然です」

 当然、弟との間で喧嘩になった。母親に聞くと、どうやら弟は父親が残していた郵便貯金や、母に支給されていた年金までも事業資金に使い込んでいたらしい。

「母が可哀想になりましてね。弟夫婦が母親の面倒を見るというから、私は生家の土地所有の権利を放棄したのですが……」

 どうしたら、土地の権利が回復するか。現在、弁護士に相談中だという。

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