医療数字のカラクリ

体験談は参考程度 自分にとって最善の治療を見つける方法

自分によく似た患者で治療効果を確かめる(C)日刊ゲンダイ

 何かの病気で治療を始めるときに、誰もが「自分にとって最善の治療を選びたい」と思うでしょう。では、それをどのように見つけたらいいのでしょうか。

 体験談をもとに考えるというのは一つの方法ですが、前回、取り上げたように誰かの体験談はそもそも怪しい。また、その体験談が本当で、その人が良くなっているとしても、その治療が自分にとっても最善の治療というわけではありません。

 この状況を少し冷静に考えてみましょう。他人にとって最善の治療が自分にとって最善かどうか分からないということは、自分にとっての最善の治療は他人で確かめることはできず、「自分で確かめるしかない」ということです。それを確実に確かめるためには、自分が2人以上というより、たくさん必要になります。何人もの別の自分でいろいろな治療法を試して、有効かどうか吟味して、その中で最も有効な治療を本当の自分に行うというような方法が最善なわけです。しかし、現実には自分は1人しかいません。そんな方法は不可能なのです。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。