自己免疫性膵炎は膵臓に腫瘤ができる。そのため膵臓がんと間違われやすいのだが、別の病気だ。
「腫瘤ができるのは、免疫タンパク質の一種IgG4を作る細胞が異常に増えて炎症が起こることが原因。これは膵臓だけでなく全身に起こり、現在は『IgG4関連疾患』と呼ばれ、膵臓がん、胆管がん、悪性リンパ腫、下垂体腫瘍、乳がん、肺がんなど、腫瘤ができた場所のさまざまな悪性腫瘍と間違われやすいのです」
自己免疫性膵炎は良性疾患であり、ステロイド療法が効果的だ。膵臓がんなどのがん治療とは異なる。だから、診断を的確に行わなければならないが、国内での認知度は必ずしも高くない。
「自己免疫性膵炎かどうかを調べるには、血液検査でIgG4の値を調べることが必要です」
神澤副院長は膵臓がんの疑いがある患者のほぼ全員にIgG4の血液検査を行っているが、同じことを行っている施設は少数。