筋力低下は早死を招く 中高年はダイエットより“握力強化”

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 驚くのは握力の強い人は心臓や血管の病気のリスクも低いこと。昨年5月、世界的に権威のある医学雑誌「ランセット」はカナダのマクマスター大学の研究を掲載している。17カ国の家庭を対象に握力測定を行い、その後4年近く死亡率と死亡原因を調べたところ、握力が5キロ減少するごとに全死亡率は16%高まり、心筋梗塞が7%、脳卒中は9%増えたという。

「久山町研究でも同じような結果が報告されています。心臓の機能維持には末梢の筋肉の力が重要で、筋力があると末梢循環も良くなります。さらに、血管も広がり、血圧も下がってきます。動脈硬化や血栓も起こりにくくなるのです」(都内の循環器科医師)

 では、握力はどのくらい必要なのか? 文部科学省が毎年公表している「体力・運動能力調査」(平成26年度版)によると、男性(女性)の平均握力は50~54歳で46.31キロ(28.04キロ)、55~59歳で44.90キロ(27.51キロ)、60~64歳で42.87キロ(26.01キロ)、65~69歳で39.77キロ(24.72キロ)、70~74歳で37.46キロ(23.75キロ)だ。

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