なりやすい病気は血液型でわかる

10万人の追跡調査で判明 O型は膵臓がんにかかりにくい

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 一方、世界の研究者たちはその後も研究を続け、2010年にアメリカの研究グループが歴史的ともいえる発見に至ったのでした。それは、「O型が膵臓がんに罹りにくく、非O型、とりわけB型とAB型が膵臓がんに罹りやすい」という事実でした。10万人の病歴を8年間にわたって追跡調査するという大規模な疫学研究の結果、O型と比べてA型で1.32倍、B型で1.51倍、AB型で1.72倍も膵臓がんに罹るリスクが高いことが明らかになったのです。

 論文が発表されると、ただちに確認のための研究が各国で開始され、ヨーロッパや中国でもほぼ同様の傾向が見られることが、次々と報告されるようになりました。数字に多少の違いはありますが、平均するとAB型とB型のリスクが1.5倍前後、A型が1.3倍前後となっています。これほどの違いがなぜ生じるのかは、まだ謎のままです。現在は遺伝子レベルで研究が進められているところです。

 膵臓がんのリスク因子としては、ほかに飲酒、喫煙、糖分の取りすぎなどが挙がっています。血液型は自分ではどうしようもありませんが、他のリスク因子は個人レベルでなんとかなりそうです。B型やAB型の人は、予防のために生活習慣を見直すべきかもしれません。

2 / 2 ページ

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。