病気に潜む「脳の異常」

慢性腰痛<3> 腰より脳の治療を 鎮痛システムの改善も必要

脳で腰痛が治る?(C)日刊ゲンダイ

 こうした痛みは、社会的な状況によっても変わってくるから複雑だ。例えば同程度の痛みでも「この先は戦闘に参加せず、命を永らえる」と感じている兵士と「痛みが死ぬまで続くかもしれない」と考える一般患者とでは、痛み止めのモルヒネを希望する割合が違うという。

「痛みを考える場合、脳が痛みや苦痛を感じたときに働く鎮痛作用にも目を向ける必要があります。例えば、脳内モルヒネ(βエンドルフィンやエンケファリンなどの神経伝達物質)、痛み情報の伝わり方を抑えるためにノルアドレナリンやセロトニンを放出する下行性疼痛抑制系の仕組み、脳内モルヒネ分泌を促すことで痛みをコントロールするドーパミンシステムです」

 腰痛治療は、単に腰の器質異常を治すだけでなく、脳ストレスを減らして痛みを生み出さないようにしたうえで、脳の鎮痛システムの機能低下解消まで気を配る必要がある。

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