医師語る 「こんな病気で死にたい」

理想は自然死 飲まず、食わず、悔いず 眠るように

石飛幸三さん(C)日刊ゲンダイ

 私が言いたいのは、「自然にまかせたら人は穏やかに死ねる」ということ。逆に言えば、下手な延命は苦しみを招きます。そのことを皆さんに知っておいてもらいたいのです。

 例えば、胃瘻です。病院は口から食べ物を取れなくなると、胃瘻や中心静脈栄養法などで、機械的に無理やり栄養や水分を補給しようとします。しかし、「年寄りは食べたり、飲んだりしないから死ぬ」のではなく、「体が吸収できないから食べない、飲まない」のです。余分な水や栄養の補給は苦しみにしかなりません。

 そもそも、寝たきりの人にどのくらいの栄養分が必要か、明確な科学的なデータなどないのです。

 胃瘻を作る理由として「誤嚥性肺炎を起こさないため」と言う人がいます。しかし、これは間違いです。胃に直接に栄養を入れる胃瘻でも、消化し切れない栄養が食道を逆行し、誤嚥性肺炎を起こします。

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