愉快な“病人”たち

歌手・大江裕さん 「パニック障害」克服までを語る

大江裕さん(C)日刊ゲンダイ

 ある日、事務所から電話があり、行くと北島(三郎)先生が待っていました。僕の頭をゆっくりなでながら、「俺は、裕の歌がもう一度聴きたい」と言ってくださって。申し訳なさと安堵感で、床にボロボロ涙を落としました。

 その後、先生の1カ月の地方公演に同行し、疲れたら先生の楽屋で休み、空き時間にピアノを弾いてボイストレーニングをしてくれました。

 公演最終日の3日前、今から言う詩をメモするように言われました。その時、「これがおまえの再出発の歌だ」とくださったのが「ふる里はいま…」という曲です。

 公演の打ち上げでその曲を初めて披露し、レコーディングの足掛かりをつかみ、“引きこもり”の長いトンネルから抜け出せました。何があっても先生が守ってくれるという安心感は何より大きいです。会社から紹介してもらった病院も相性が良かったようで、心配事が減りました。

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