天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓も冬支度を忘れるな

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 年末の大掃除にも危険は潜んでいます。部屋、廊下、トイレ、浴室などの掃除だけでなく、洗濯や炊事、洗車にも注意してください。

 まず、拭き掃除や炊事、洗車などで冷たい水に触れるだけでも、心臓には負担がかかります。さらに、水を入れた重いバケツを持って移動したり、濡れて重くなった洗濯物を洗濯かごで運んだりすることでも、血圧は急激に上昇します。

 中でも、床の拭き掃除をする際などにとりがちな「前かがみにしゃがみこむ姿勢」は危険です。前かがみの姿勢は心臓が圧迫されるうえ、呼吸もしづらくなって血圧の変化が強く表れます。「心臓病の患者がいちばんやってはいけない姿勢」といわれているほどです。

 すでに心臓疾患を指摘されている方は、無理に大掃除はしない方がいいかもしれません。

 また、冬は脱水にも気を付けなければいけません。エアコン、ストーブ、ホットカーペット、コタツといった暖房器具を長時間つけっ放しにしていることも多く、考えている以上に部屋や体は乾燥しています。また、利尿作用があるお酒を飲む機会も増えるため、脱水状態になりやすいのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。