検査で異常なし…そのシビレは多発性硬化症かもしれない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 診断を行った「さっぽろ神経内科病院」の深澤俊行院長は、「神経内科医でなければ診断が非常に難しいのが多発性硬化症。また、実は神経内科医であっても、古い知識しか持っていない医者では見落としがある」と指摘する。

 多発性硬化症は、中枢神経を自己免疫が攻撃して、中枢神経を構成する大脳、小脳、脳幹、視神経、脊髄の働きに異常が起こる疾患だ。根本的な原因は不明。男女比は1対3で女性に多く、ほとんどが20~30代の若い時に発症する。

 一般的に、症状が出てもいったんは“治る”。最初は大した症状ではなく、ちょっとした違和感程度のこともある。しかし、その後再発し、そして再発を繰り返し、進行していく。末期になると認知機能障害や歩行障害が出てくる。

 多発性硬化症の診断が難しいのは、症状が多岐にわたるからだ。

「自己免疫が攻撃して起こるのを『脱髄斑』と呼びますが、これが中枢神経のどこに起こるかで、症状は異なります。さらに、脱髄斑は複数起こるので、症状はいくつも出てくるのです」

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