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【喀血のカテーテル治療】国立病院機構東京病院呼吸器センター(東京都清瀬市)

喀血部門の責任者の益田公彦医長(提供写真)

 ただし、感染症が原因の喀血の場合、その後の感染症の治療もうまくいっていないと止血率は落ちる。非結核性抗酸菌症による喀血の止血率は1年後で88%、3年後で75%。肺アスペルギルス症では1年後で75%、3年後で50%だ。

 BAEで起こりうる主な合併症は血管損傷(4~5%)だが、1週間ほどの入院療養で治癒する。BAE治療後は喀血だけでなく、約半数の患者がこれまで出ていたせきやタンの症状が改善するという。

「喀血があると精神的負担だけでなく、入院を繰り返すので経済的負担も大きい。侵襲の少ないカテーテル治療で症状が改善できることを多くの患者さんに知ってもらいたいと思います」

 喀血外来の診療日は毎週火曜日(予約制)。初診時に血管造影検査をして、その日のうちにBAEの治療スケジュールが立てられるという。

<データ>
 政策医療19分野における呼吸器疾患の基幹医療施設。
◆スタッフ数=約40人(うち喀血部門4人)
◆年間初診患者数(2015年)=3458人(うち喀血外来=約72人)
◆BAEの年間実施数=140件前後

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