看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

地域包括ケアについて知ろう

「地域包括ケア」が、がん患者さんと、そのご家族にも関係ある話だとご存じですか?

 少子高齢化が進む日本では、医療や介護を必要とする75歳以上の方々が増え、一方で、彼らを支える若手の減少が問題視されています。

 2025年に向けて、国は医療需要と病院ベッド数の必要量を調整するために、さまざまな計画を立てています。人口が集中する都市圏と、過疎化が進む地方の傾向を踏まえた上で、どのようにすれば必要な人に医療と介護が届くのかというものを、「地域医療構想」として考えているのです。

 その取り組みの一環として、「地域包括ケア病棟」というものが、平成26年4月に厚生労働省から新しく認可されました。医療や介護が必要になっても地域で暮らし続けたい方への支援を目的とした病棟で、①急性期治療後のリハビリ・在宅復帰支援②在宅・施設患者さんの病状が増悪した際の対応やリハビリ③その先の療養生活を支援する役割――を兼ね備えています。

 まだ始まったばかりの取り組みで、それぞれの病院が試行錯誤しながら体制を整えている段階ですが、がん患者さんにとっても身近な病棟となるかもしれません。

 たとえば、短期間の抗がん剤治療や、急な体調不良の際の入院。また、痛みを医療用麻薬でコントロールしている場合、痛みの増悪時の疼痛コントロールのための入院。さらに、病状の悪化で自宅での療養が難しくなった場合に、一時入院して自宅で過ごすための必要な医療・介護サービスを整える――などが考えられます。

 平成30年4月には、診療報酬と介護報酬の同時改定があります。病院の機能分化が進むことが予想されており、各医療機関は着々とその準備にあたっているといっても過言ではありません。

 少し難しい話もあるかもしれませんが、医療や介護を受ける皆さんも、この「地域医療構想」に関心を持ち、よりよく健康に過ごせるように備えたいものです。