専門医に聞く うつぶせ寝禁止で乳幼児突然死は防げるのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 東京都は「1歳になるまで」とする国の保育指針をより厳しくし、「1歳以上でも必ずあおむけに寝かせる」に変えるという。昨年3月、東京・中央区にある保育施設でうつぶせ寝の1歳2カ月の男児が突然死したことを受け、都の検証委員会が提言したからだ。しかし、うつぶせ寝をさせないだけで年間100人ともいわれる、「乳幼児突然死症候群」(SIDS)は防げるのだろうか。日本SIDS・乳幼児突然死予防学会評議員で川口市立医療センター・新生児集中治療科の山南貞夫医師に聞いた。

「1歳までのうつぶせ寝がSIDSの大きなリスクファクターであることは間違いありません。しかし、1歳以上まで禁止する効果はどうでしょうか。むしろ、禁止期間延長をすればそれですむ、という風潮を警戒すべきです」

 SIDSとは、元気にすくすく育っていた赤ちゃんが突然死する病気のこと。1歳未満のとくに生後2~3カ月ごろに多く、男女、人種、経済環境に関係なく起こる。欧米では乳幼児の死亡原因のトップ、日本でも3位とされ、平成27年の厚労省の発表では96人が死亡しているという。

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