主治医のもと、さまざまな検査を受けたが、血糖値上昇の原因はなかなか分からなかった。一時は膵臓がんを覚悟したAさんだったが、最終的に判明したのは結核だ。
Aさんが、これまでに受けた検査結果を改めて見返すと、そのうちのひとつに「結核の可能性も」と書かれたものがあった。ところが、記載した医師も重要視していなかったようで、結核を念頭に置いていなかった主治医も見逃していた。
Aさんは「排菌」していない結核だったので、現在は通院治療中。「なぜもっと早く病名が分からなかったのか」と疑問に思っている。
■患者の多くが診断にアクセスできず
結核の死亡者数は、世界全体で年間180万人。昨年、結核死亡者数がHIVを超え、感染病の中でトップになった。患者はアジアに多く、年間1000万人が結核を発症している。このうち治療につながるのが600万人、残り400万人が治療を受けないままだ。