前立腺がんは凍らせて殺す 国内初治療を行った医師に聞く

凍結治療は腎臓がんなどでも行われている(提供写真)

 こういった「放射線療法後の再発」の場合、従来はホルモン療法が行われてきた。しかし、ホルモンは全身に作用し、急な発汗、乳腺の痛み、体重増加、男性機能や性欲の低下、さらに糖尿病の悪化、心血管系の障害などの副作用がある。

「再発とはいえ、がんは前立腺内にとどまっているのだから、もっと低侵襲の治療法はないか。そこで始めたのが、凍結療法なのです」

 全身麻酔下で、冷やす針と温度計の機能を持つ針を前立腺がんに数本刺し、アルゴンガスを注入。細胞が死滅するマイナス20度になるまで、がんを凍らせていく。がんが氷で包まれていくイメージだ。

 直腸に入れたエコー(経直腸エコー)で、氷が的確な大きさになっているかなどを確認する。前立腺の近くの直腸と尿道が凍らないように、温度計の針で直腸の温度を確認し、尿道にカテーテルを通して温水を還流する。これらによる合併症は、これまで経験がないという。術後は、基本的にPSAで経過を見ていく。

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