クスリと正しく付き合う

高血圧治療薬(降圧剤)を中止・減量する4つのステップ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 これまで、高血圧治療薬(降圧剤)についてお話ししてきました。今回はどのようにして降圧剤の減量・中止または最適化を図っていけばよいのかをまとめます。

 最終的に降圧剤を減らすためには、治療を最適化することです。そのためのステップとして、①家庭でも血圧を測って記録する(朝晩2回測定する。血圧手帳に記録するのがベター)②食生活を見直す(減塩)、禁煙、減酒(禁酒ではありません)③運動をする(代謝をあげて発汗を促す)④薬を指示通り飲む――を継続することが大切です。そう簡単でないのはわかりますが、薬を中止・減量するためには、①~④を実践して血圧をきちんとコントロールしなければなりません。

 次に、担当医に「薬をやめたい」「薬の種類を減らしたい」ことを相談し、定期的に上記①~④について伝えましょう。できたことももちろんですが、できなかったこと、たとえば「薬が飲みにくい」といったこともしっかりと伝えるとよいでしょう。

 どれだけの名医であっても、患者さんの日常生活まで把握できるわけではありません。家庭での出来事を正しく伝えることが治療の最適化にとって重要なのです。

 薬を何種類も飲んでいる患者さんの中には、数が多いことで服薬意欲が下がっている人もいらっしゃいます。「数が減れば飲む気になる」という人には、配合剤がオススメです。2~3種類の降圧薬が1錠にまとめて入っている薬がいくつも発売されています。ただ、これらは必ず医師の処方が必要で、薬局では買えません。薬剤師が簡単に切り替えることもできませんので、配合剤を希望される場合には担当医に相談してください。

 高血圧治療の目的は「心血管疾患の予防」です。予防は成果が見えづらいため、患者さんの治療に対するモチベーションが下がるのもわかります。まずは上記を意識して、前向きな降圧剤の減薬を目指してはいかがでしょうか。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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