内臓5つ摘出も元気 建築家・安藤忠雄氏に聞く“生きる力”

「病気をしてから本を読む機会ができた」と語る安藤忠雄氏/(C)日刊ゲンダイ

 光の教会の十字架部分にはガラスは入っていません。実は本物の光の教会も、当初の計画ではガラスが入っていませんでした。信者の方々から「それでは冬寒い」と言われ、しぶしぶガラスを入れた経緯があります。「寒いからこそ、心を寄せ合い、祈りを捧げることになるのでは」と考えていました。そこで、今回再現するにあたって、あえて原点に立ち戻ったものの考え方を提示することにしました。訪れた人たちに「もう一度、自分の人生を考え直してみよう」と思って欲しかったからです。

 75歳ぐらいまで働いて90歳まで生きる時代になりました。長い人生を生きぬくためには持続力、想像力、自己中心的に行動していくための知的体力が求められます。これが備わると、人生が面白くなります。諦めずにやり遂げる子どもたちを育てないと、日本の未来はありません。彼らが今後、どんな世界をつくっていくか、私たちは真剣に考えていかなければいけません。

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