クスリと正しく付き合う

尿が真っ赤になる薬がある

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 薬が体から排出される経路は大きく2つあります。①「腎臓から尿と一緒に出ていく」②「肝臓で代謝されて便と一緒に出ていく」の2経路です。ということは、腎臓や肝臓が障害を受けて働きが悪くなってしまった場合、薬が体からなかなか出ていかず、作用が強く出たり、副作用が表れたりする危険があります。そのため、薬を服用している患者さんは、とりわけ腎臓や肝臓の状態には常に気を配っておく必要があります。

 肝臓の機能低下は自覚症状が少ないのですが、腎臓の機能低下は尿が出にくい、尿が泡立ちやすい、血尿が出るといった症状から、比較的わかりやすい傾向にあります。ただ、腎機能の低下とは関係なく、薬の中には尿や便の色を変色させるものがあるので、いたずらに慌ててしまわないように、患者さん側も知識として知っておく必要があります。

 例えば、抗生物質の一種として結核治療などに用いられる「リファンピシン」という薬を飲むと、尿が真っ赤に変色することがあります。そのため、血尿が出たと勘違いして、腎機能障害や横紋筋融解症(筋肉が溶けてしまう病気)を疑ってしまう患者さんもいます。また、尿だけでなく、体液や使用しているソフトコンタクトレンズまで赤くなってしまうことがあります。知らないとびっくりしてしまうでしょう。ほかにも、貧血の治療に用いる「鉄剤」(フェロミアなど)によって便が黒色に変色することがあります。黒色になることそのものは特に悪い影響があるわけではないので気にする必要はありません。ただ、血便でも便が黒色になるケースがありますので、体の中で何かが起きていることは間違いありません。

 薬の影響で尿や便が変色しているのか、はたまた体の不調によるものなのかは、やはり専門家の見極めが必要です。薬を飲んで尿や便が変色した場合には、念のため、医師や薬剤師に相談しましょう。

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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