役に立つオモシロ医学論文

災害時の死亡リスクに影響する「人とのつながり」

津波に飲まれた町で立ち尽くす人(C)日刊ゲンダイ

 社会的なつながりを維持し孤立を防ぐことは、震災後の死亡リスク低下に寄与しうることが示される一方、震災当日においては、社会的つながりの強さと死亡のリスクに関連性を認めていません。

「誰かが避難してからでも間に合う」というようなリスクの過小評価や、集団における退避の意思決定の困難さ、家族を助けようとして退避が遅れたなどの原因が考えられます。また、うつ病を患っている人でも退避が遅れる可能性があり、こうした人たちへの支援やケアが必要と言えるかもしれません。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。