医者も知らない医学の新常識

会議中のあくびは「真面目に聞こう」とする意思の表れ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 眠い時や退屈な時には「あくび」が起こります。これ以外に医者がよく遭遇するあくびは、患者さんの血圧が急に下がった時など、具合が本当に悪くなる直前に出るあくびです。体調の悪い時に出るあくびを、「生あくびが出る」というような言い方をすることもあります。

 あくびはなぜ起こるのでしょうか? これは20年くらい前に分かった、比較的新しい知見です。脳の視床下部に「室傍核」という場所があり、そこを刺激するとあくびが出ることから、室傍核があくびを起こしていることが証明されています。あくびを起こす刺激は、覚醒する神経を同時に刺激させることも分かっています。つまり、あくびをすると同時に目が覚めるのです。脳が眠ってはまずいと判断した時に、人間を含む哺乳動物はあくびをして目を覚ますのです。

 退屈な会議や授業などの時にあくびをすると、「真面目に聞け」と怒られることがありますが、実はあくびをするのは目を覚ますためですから、逆に真面目に聞こうとしていることの証しでもあるのです。

 具合の悪い時の生あくびは、脳の血流が低下して危険な状態と判断した時に出す、一つの警告のサインと考えられています。医者はこれを見逃さずに治療を開始しないといけません。同じあくびといってもさまざまで、眠くなくて具合の悪い時に出るあくびには、注意が必要なのです。

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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