ところがO型は、他の血液型よりマラリアに強いのです。多数の研究から、いまや疑う余地のない事実として認識されています。といっても「O型ならマラリアの感染を免れる」というわけではありません。感染率は他の血液型と大差ないのですが、悪化しにくいのです。なぜならO型の血液は、ロゼットが形成されにくいからです。O型は、血液凝固因子のひとつであるフォン・ウィルブランド因子(VWF)が薄いため、血液が固まりにくく、血栓症になりにくいという話をしました。O型でロゼットができにくいのも、どうやらVWFの薄さが関係しているらしいのです。
いや、話は逆です。人類はマラリアに対抗するために、VWFの薄い、つまりロゼットができにくい、O型という血液型を獲得したのです。それが血栓症にもなりにくいという、思わぬ効果をもたらしたというわけです。
<4>動脈系の血栓症でも非O型より若干有利
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<6>血液型で抵抗力にも差が 病気と世界の分布
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。