実録 父親がボケた

<12>施設の母体は新興宗教 表情暗く雰囲気はまるで収容所

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 老人ホームの実態を見慣れていない私は、特養の雰囲気に気おされた。でもそれは特養に限ったことではない、と見学して気づいた。

 パンフレットで美辞麗句を並べる有料老人ホームでも、「この世の果て」みたいな施設はある。見学した中に1軒、入り口に立った途端、冷気を感じて鳥肌が立つ施設があった。利用者の顔もことごとく暗くて怖い。まるで収容所の雰囲気だ。後で知ったが、そこは新興宗教が母体の企業が経営する施設だった。

 もちろん、明るくて活気のある施設もあった。スタッフも利用者も笑顔の割合が多い。営業担当者も親身に話を聞いてくれて、こまめに電話で空き状況やら料金改定を知らせてくれる。ただ、そんなに空き部屋が出ることと、頻繁に料金が上がるのは不安なんだけど……。

 大手企業の施設だったが、後に介護職の知人に聞いた話では「離職率と利用料値上げが頻繁すぎるワースト施設」とのこと。亡くなるから空きが出るのだと思っていたが、利用料を払えずに退所する人も実際には多いのだ。

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吉田潮

1972年生まれ、千葉県出身。ライター、イラストレーター、テレビ評論家。「産まないことは『逃げ』ですか?」など著書多数

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