人は遺伝子の奴隷なのか

同じ環境で育った双子でも大半は同じ病気にならない

遺伝子は逃れようのない運命ではない?(きんさん、ぎんさん)(C)共同通信社

「親もハゲているから、自分の髪が薄いのも仕方がない」「太るのは、親が太っているせい」――。

 人は自分に不都合なことを遺伝のせいにしがちだ。遺伝とは、親から受け継いだ形質(姿、形、性質)のこと。人の形質や病気は奴隷のように遺伝子に支配され、そこから逃れることはできないのだろうか?

「日本人の遺伝子」(KADOKAWA)の著者で、国際医療福祉大学病院内科学の一石英一郎教授が言う。

「そんなことはありません。親から子へ形質を伝える遺伝物質である遺伝子は、生まれついた『運命』ではなく、生まれたあとの『環境』によっても大きく変化します。ヒトを構成する37兆個の細胞一つ一つの核のなかに設計図となるDNAが入っています。それが読み取られ、さまざまなものがつくられるのですが、環境によってそこからつくられるものは変化します。これをエピジェネティクスと言います」

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