人生100年時代を支える注目医療

心蘇生後の脳機能障害が軽くなる「水素ガス吸入療法」

佐野元昭准教授(C)日刊ゲンダイ

 虚血再灌流障害とは、血栓などで一度血流が止まった細胞組織に再び血液が流れると、大量の活性酸素が発生して急激な細胞障害が起こる臓器障害。水素ガスを吸入させると、その発生した活性酸素を除去する効果があることが分かったのだ。

 当時、佐野准教授が行っていたのは、心筋梗塞に対する水素ガス吸入の有効性の研究。動物実験で効果を確認した上で、救急外来患者の臨床研究(20例)でも水素ガスを吸入した方が治療後の心臓のポンプ機能が改善することを証明した。

「しかし、心筋梗塞はカテーテル治療など治療法が確立されています。それで他に有効な疾患はないかと、着目したのが心停止後に蘇生した患者さんへの応用です。心停止すると心拍が再開しても8割が亡くなり、助かっても脳に後遺症が残ることが多いからです」

■大がかりな装置は不要

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