意外に知らない…前歯治療は保険が利かないといわれる理由

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 一方、自費診療の場合はプラスチック以外にもさまざまな材料が使われる。例えば、セラミックだ。かぶせ物をする場合、通常は金属で補強する内面をジルコニアで製作し、その上にセラミックを使うオールセラミックが可能になる。これについて「金属を一切使わないので金属アレルギーは出ないし、長年使っても変色や変形、腐食、吸水による口臭が出にくい」などとそのメリットを強調した説明がなされる場合が多い。

 しかし、どちらも保険診療から自由診療へ誘導するための常套句だと木村院長は言う。

「保険診療での前歯の治療が、自由診療のそれと比べて機能的に大きく劣るわけではありません。歯科医師の腕さえあれば見た目もそれなりに満足できるものになるはずです。そもそも前歯の虫歯は目立つため、かぶせ物が必要となるほどひどいケースはあまりないはず。保険診療でも使われるレジンでも丁寧に詰めればどこに埋めたか分からないよう治療することは可能で、大体は長期的に問題なく過ごせます。むしろ、かぶせ物をすると歯は大きく削られてしまい、歯の寿命を短くしてしまう。慎重でなければなりません」

2 / 4 ページ

関連記事