独白 愉快な“病人”たち

日常生活もままならず…野口健さんが壮絶ヘルニア体験語る

野口健さん(C)日刊ゲンダイ

 さらに、退院して2日後には富士登山に出発しました。熊本の被災地の子供たちとの約束だったので、「せめて行けるところまで」という気持ちでした。医師からは「絶対に転ぶな」と言われたので緊張しましたけど、結局、山頂まで行っちゃいました(笑い)。

 ヒマラヤへ行ったのは今年の春。それまでに50回以上も登ってきた山ですが、2年間のブランクは初めてです。不安でしたし、いざ登ってみるとこれまで当たり前にやっていたことにあたふたしちゃって……。でも、その感じが初心に戻ったような新鮮さで、「不安ってのは楽しいものだな」と思いました。

 日常生活もできなくて「山は終わった」と思った時期もありました。「山で死ぬことはないからそれもいいな」と考えたことも確かです。でも、「山をやめたら何も残らないし、何も残らないのも怖い。どうであれ怖いなら山を続けよう」と思い至って今があります。

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