Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

松浪健四郎さんはステージ1 厄介な膵臓がんも0期なら治る

松浪健四郎さん(C)日刊ゲンダイ

 前立腺がんには、低リスク、中間リスク、高リスクの3つのタイプがあり、低リスクなら何も治療せず様子を見る「待機療法」も可能。がんの中では、比較的穏やかですが、待機療法が選択されず、発言内容やホルモン療法を受けていることなどから推測すると、中間リスクでがんが前立腺内にとどまっているのでしょう。

 もう一つのリンパ腫はとても種類が多いのですが、治療の進歩が目覚ましい。どの種類か分かりませんが、種類によっては十分完治が見込めるでしょう。

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 そうすると、気になるのは、やっぱり膵臓がんです。9月に発表された最新データによると、膵臓がんの3年生存率はステージ1で約51%と半数を超えますが、ステージ2でほぼ半減。全体で約14%です。胃がんや大腸がんは全体で7割前後ですから、膵臓がんの厳しさは歴然ですが、それでも早期なら治療効果がうかがえます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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