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悪玉が正常値でも要注意 コレステロールはLH比で評価する

評価は「LH比」で決まる
評価は「LH比」で決まる(C)日刊ゲンダイ

 コレステロールと耳にすると、メタボや動脈硬化の元凶のように感じるかもしれませんが、メリットもあります。コレステロールがあるから、胆汁、ビタミンD、副腎皮質ホルモン、性ホルモンなどが作れるのです。でも、やっぱり、コレステロールがする悪さには困ります。

 健康診断の血液検査では、脂質に関するものとして、HDL(善玉)コレステロール、LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪、総コレステロールの値が出てきます。

 伊東優さん(44=仮名)の健康診断結果は次の通りでした。善玉コレステロール43㎎/デシリットル(正常値40以上)、悪玉コレステロール117㎎/デシリットル(60~119)、中性脂肪116㎎/デシリットル(30~149)、総コレステロール183㎎/デシリットル(140~199)。すべて正常値の範囲で、検査結果の評価も「A評価:正常」。よかったですね。本人もほっと一息。

 しかし、もう半歩踏み込んでチェックする必要があります。悪玉コレステロールは、血液に乗って全身を駆け巡って血管の壁という壁に脂肪をまき散らしていきます。そのまま放っておいては、動脈硬化に。それでは困るので、善玉コレステロールがその後を追いかけて、壁にくっついた脂肪をはがして回収。善玉のおかげで動脈硬化が予防できるのです。

 さて、伊東さんは、善玉コレステロールも、悪玉コレステロールも正常値なので、安心かというと、実はそうではありません。

 というのは、悪玉コレステロールと善玉コレステロールは、その比率が大切なのです。それが、LH比と呼ばれるもの。悪玉コレステロール値を善玉コレステロール値で割った数値が2・5以上だと、動脈硬化や血栓のリスクが俄然高くなります。伊東さんのLH比は2・7と危険な水準。健康診断の結果のA評価をうのみにしてはいけない理由がそこにあるのです。本当の評価は「C:要経過観察」が妥当でしょう。

※正常値は、日本人間ドック学会の数値に準拠

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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