医者も知らない医学の新常識

検査の1割強で予想外の異常発見も…8割は判断がつかない

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写真はイメージ(C)PIXTA

 皆さんはMRI検査やCT検査を受けたことがありますか? こうした検査を行うと、当初疑われたものとは違う、予想外の病気が見つかることがあります。

 肺がんの疑いで実施したCT検査で、大動脈瘤が見つかったりすることもあるのです。

 頭痛で受けた脳のMRI検査で、頭痛の原因ではない脳腫瘍が見つかる、というようなこともあります。

 こうした予想外の異常は、検査を指示した医者にとっても、検査を受けた皆さんにとっても厄介なものです。

 心臓を調べる目的で撮ったMRIで、肺にがんの疑いのある影が見つかったとしましょう。検査を指示した医者は心臓が専門で肺は専門ではないので、肺がんの疑いを見落としてしまうケースがあり、それが問題になったこともあるからです。

 それでは、こうした予想外の異常は、どのくらい見つかるものなのでしょうか?

 今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という医学誌に、MRI検査のそうした異常についての研究が発表されています。

 それによると、全てのMRI検査のうち12.8%にはそうした予想外の異常があり、最も多いのはがんを疑う所見でした。そして、そのうちの2割しか、その異常の診断はついていませんでした。

 検査は病気を疑ってするものですが、別の病気が見つかることが意外に多い、という点にも注意が必要であるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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