天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓弁膜症は自覚症状だけでなく生活制限にも目を向ける

順天堂大学医学部付属順天堂医院の天野篤院長(C)日刊ゲンダイ

クラスⅠ:心疾患はあるが身体活動に制約はなく、通常の労作では、疲労感、動悸、呼吸苦が生じない状態。競技スポーツも行うことができる。

クラスⅡ:身体活動に軽度の制約があり、安静時には苦痛はないが、通常の身体活動が、疲労感、動悸、呼吸苦を認める状態。軽いジョギングやレクリエーションゴルフはできるが、競技スポーツは苦しくてできない。

クラスⅢ:身体活動に高度の制約があり、安静時に苦痛はないが、通常以下の身体活動で、疲労感、動悸、呼吸苦を認める状態。自分のペースなら何とか家事を行ったり歩いたりすることはできる。

クラスⅣ:いかなる身体活動も苦痛を伴う状態。安静時にも疲労感や呼吸苦がある、または少しでも身体活動を行うと苦痛が増加する状態。

 自分の心臓の状態を把握するうえで重要になるのが、「表れている自覚症状によって、生活制限をどの程度受けているのか」を見ることです。ニューヨーク・ハート・アソシエーション分類もそうですが、自覚症状を生活制限に置き換えて考えることで、より正確な判定につながります。

3 / 4 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

関連記事