市販薬との正しい付き合い方

セルフメディケーションが機能するには定期健診が欠かせず

定期的に健診を受ける

 近年、推奨されているセルフメディケーションですが、あくまで「セルフ」です。一般の方にしてみれば、ただ「薬を上手に選んで使ってください」と言われても、実践するのはなかなか難しいでしょう。

 そこで押さえておきたいのが、スイッチOTCをうまく選んで使うコツです。それは、「かかりつけ薬剤師をつくってよく相談すること」と、「OTC服用後に症状が変化しない、または悪化した際には速やかに受診する前提で飲み始めること」の2点だと言えます。これを意識して活用する人が増えれば、セルフメディケーションがより浸透するのではないでしょうか。

 国民皆保険制度の日本では、セルフメディケーションがなかなか進んでいないのが現状です。OTCの市場はここ20年以上やや縮小しています。内服のスイッチOTCの種類が増え始めた1997年ごろ、当時発売された胃薬のファモチジン(ガスター)などは「胃痛を抑えることで胃がんの早期発見を遅らせるのではないか」という懸念もありました。そうした不安を抱えた状況下で市場が伸び悩むのは理解できます。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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