医者も知らない医学の新常識

禁煙成功者の8割がその後も電子たばこを…英国で論文が

海外でも様々な電子たばこが販売されている
海外でも様々な電子たばこが販売されている(C)ロイター

 たばこは健康に悪い習慣ですが、長年の喫煙者にとって、禁煙はそうたやすいことではありません。最近節煙や「禁煙」のために使用されることが多いのが、「電子たばこ」や「非燃焼・加熱式たばこ」といったたばこの代用品です。

 非燃焼・加熱式たばこというのは、タバコの葉を燃やす代わりに加熱して吸引するものですから、軽減はされているものの、たばこと同じように害があります。

 その一方で電子たばこは、たばこに似たにおいのある液体を、専用の器具で蒸気にして吸引するものですから、たばことは基本的に別物です。ただ、吸引する液体の安全性が、まだ確実とは言えないことと、その後の喫煙の習慣につながる可能性もあるので、その使用にはいろいろな議論があります。

 それでは、禁煙の補助として、電子たばこを使用することには効果があるのでしょうか? 今年の「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という一流の医学誌に、それについての論文が掲載されました。

 イギリスで禁煙を希望する喫煙者に、ニコチンのパッチやガムと、電子たばこのどちらが効果的かを比較したところ、ニコチン製剤よりも電子たばこの方が、禁煙の成功率は高かったのです。

 ただ、禁煙に成功した人の8割は、その後も電子たばこを吸う習慣はやめていませんでした。電子たばこには習慣性があるので、まだその禁煙目的の使用は検討の必要があるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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