病み患いのモトを断つ

GW明けは要注意 帯状疱疹になると脳卒中リスクが3倍に

顔に発症すると、目の周りがかゆくなることも
顔に発症すると、目の周りがかゆくなることも(C)日刊ゲンダイ

 GW10連休もいよいよ終わる。

 歴史的な連休を満喫すべく仕事を頑張ったはいいが、疲れをためたまま連休に突入してハッスルしすぎて、連休明けに体にぷつぷつと湿疹が……。実は、帯状疱疹ができやすい時季なのだ。聖路加国際病院内科名誉医長で、「西崎クリニック」院長の西崎統氏に聞いた。

「帯状疱疹を起こすウイルスは、水ぼうそうと同じです。そのウイルスは水ぼうそうが治ってからも、神経の奥に潜んでいます。病気になったり、免疫力が低下したりすると、それが再び活性化して、皮膚に感染し、赤い湿疹や水疱が神経に沿って帯状に現れます。それが帯状疱疹で、20代と50代が発症のピーク。連休後や年末などに発症しやすく、特に中高年は、免疫力の低下でこじれやすいので要注意です」

■予防のサインはピリピリ、チクチク

 ピリピリしたような違和感から始まって、赤い湿疹ができ水疱に。それが破れて、皮膚がただれ、やがて治るというのが、発症からの流れ。その間、痛みは続くが、ごく軽い人から眠れないほど激しいものまでさまざまだ。

「知覚神経があるところならどこでも発症するため、発症部位もさまざまです。その中では胸や顔に多い。ただし、中高年だと、ちょっとした湿疹は少なからずある。湿疹の前に生じるピリピリやチクチクした違和感は、帯状疱疹の発症を告げるサインですが、ごく軽いものだと見過ごしやすいし、その後に湿疹ができても、『いつものかな』と手持ちの薬で様子を見ることが少なくありません。それで治療が遅れて、症状が悪化しやすいのです」

 英ロンドン大などの研究チームは、英国人6584人を追跡。その結果、帯状疱疹を発症した人は、脳卒中を起こしやすいことを突き止めた。

 脳卒中の発症リスクは、帯状疱疹発症後1~4週が1.6倍、5~12週は1.4倍、13~26週は1.2倍。特に顔の三叉神経に発症した場合は高く、それぞれ1.8倍、3.2倍、1.4倍だったという。

「治療は抗ウイルス薬の服用が基本。早いうちにウイルスをしっかり叩かないと、湿疹がなくなっても、神経痛が残ることがある。それが帯状疱疹後神経痛で、医学的には3カ月以上続く痛みを指します。人によっては10年近く続くことも珍しくありません。鈍い痛みから灼熱感、突き刺す痛みなど、痛みの程度は幅広い。初期症状が重いほど、治療が遅れた人ほど神経痛が残りやすいのです」

 神経痛の発生率は約10%と少ないが、高齢者ほど多いという。脳卒中との兼ね合いもある。厄介な痛みに何年も悩まされないように、チクチクやピリピリした違和感を軽く見ないのが無難だ。

「帯状疱疹は、両側に出ることもありますが、極めてまれ。ほとんどは左右どちらかに帯状に発症します。『帯状』『左右どちらかの湿疹』を見つけたら、すぐ受診してください」

 GW明けは要注意だ。

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