Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

阪神原口は一軍復帰 若年発症の大腸がんは35%が遺伝性

9回、代打で適時二塁打を放ち、ガッツポーズする阪神の原口(C)共同通信社

 大腸がんの発症には、生活習慣の要素が強くかかわっていて、動物性脂肪やタンパク質の過剰摂取や繊維質の不足、肥満などが関係していて、いわばメタボとの結びつきが強い。日本で低年齢化を伴って患者数が急増しているのは、日本人の生活習慣がメタボ化しているゆえんです。

 しかし、全体の5%前後は、遺伝的な要因で発症するといわれます。米テキサス大MDアンダーソンがんセンターの研究によると、35歳以下での発症は、35%が遺伝性と報告。若い方の大腸がんは、遺伝性の可能性が強いといえます。その点を踏まえると、断定はできませんが、原口選手も遺伝性かもしれません。

 原口選手は、昨年末に受けた人間ドックで大腸がんが発覚したそうです。若年発症であってもなくても、早期発見・早期治療は変わりませんし、それが早期復帰を可能にしたのは間違いありません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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