Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

製薬会社は拒否 関西医大が行うすい臓がん治験の可能性

膵がん治験費をネットで調達、記者会見する関西医科大の里井壮平教授(C)共同通信社

 営業マンに課されるノルマは先発品で、特許切れにはほとんどなし。特許切れで、利益が見込めないためです。

 製薬会社が治験への協力を断ったのは、そんな事情があると思います。そこでひねり出されたのが今回の仕組みというわけで、チームは価格が安い後発品を使って研究を続けるといいます。

 膵臓がんは難治がんで、中でも治験が対象とする腹膜転移があるケースは厄介です。それでも研究チームが、異例の枠組みをつくってまで力を入れるのは、一定の成果が出ているからだと思います。

 今回の治験は、第3相試験。2012~15年に行われた第2相試験は、同様の膵臓がん患者33人に行われていて、生存期間が延長。うち8人は腹膜転移が解消され、手術ができたと報告されています。

「S―1」と「パクリタキセル」の併用療法は、胃がんの腹膜転移にも行われていて、飛躍的な治療法とはいえませんが、期待は持っていいでしょう。

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中川恵一

1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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