営業マンに課されるノルマは先発品で、特許切れにはほとんどなし。特許切れで、利益が見込めないためです。
製薬会社が治験への協力を断ったのは、そんな事情があると思います。そこでひねり出されたのが今回の仕組みというわけで、チームは価格が安い後発品を使って研究を続けるといいます。
膵臓がんは難治がんで、中でも治験が対象とする腹膜転移があるケースは厄介です。それでも研究チームが、異例の枠組みをつくってまで力を入れるのは、一定の成果が出ているからだと思います。
今回の治験は、第3相試験。2012~15年に行われた第2相試験は、同様の膵臓がん患者33人に行われていて、生存期間が延長。うち8人は腹膜転移が解消され、手術ができたと報告されています。
「S―1」と「パクリタキセル」の併用療法は、胃がんの腹膜転移にも行われていて、飛躍的な治療法とはいえませんが、期待は持っていいでしょう。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁