看護師僧侶「死にゆく人の心構えと接し方」

死を恐れず、自分の生き方に合った死生観を持つことが大事

(提供写真)

 都内の病院に看護師として勤務しながら、もっぱら「在宅ケア」を講じている玉置さんは言う。

「在宅ケアでは、台湾が世界的にも優れているのです。何分、在宅ケアの充実で台湾の医療費用が2億円削減できたといわれています。私も台湾を何度も訪ね、在宅ケアとは何かを学びましたね」

 長いインタビュー時間で、印象を強く残したのは玉置さんが抱く「死生観」だった。

「死を恐れてはいけない。肩の力を抜いて、自分の生き方に合った『死生観』を持つこと」

 親を介護する家族には、こうアドバイスする。

「決して無理することなく、苦しさに耐えることはない。少しの時間があったら自分も楽しみなさい」

 高齢化社会に一石を投じるような意見である。

 (おわり)

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玉置妙憂

玉置妙憂

東京都生まれ、53歳。専修大学法学部卒業後、法律事務所に勤務。長男の重い病気が動機になり30歳の時、看護師資格を取得。46歳の時に、がん闘病の主人を自宅でみとった後、高野山真言宗に得度した。臨床宗教師としても講演、執筆活動を行っている。「大慈学苑」主宰。

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