医者も知らない医学の新常識

ミネラル豊富というが…「麦茶が熱中症に良い」は本当か?

麦茶(C)日刊ゲンダイ

 今は梅雨で湿度が高く、気温も乱高下していますから、気温の高い日には熱中症が起こりやすくなります。熱中症予防にはまめに水分を取ることが重要です。その時の水分はどんなものが良いのでしょうか? スポーツドリンクや経口補水液は、ある程度、脱水状態を想定している飲み物なので、ただの水よりは効果的であることは間違いありません。

 ただ、塩分と糖分が多く含まれているので、そればかり飲むことは健康に良いとはいえません。高血圧や糖尿病の方に適しているとは言えません。最近言われることが多いのが麦茶の効能です。

 麦茶は緑茶と違って、カフェインがほとんど含まれていないので、脱水になる危険や、心臓に負担のかかる危険は低い飲み物です。更に水よりカリウムや亜鉛などのミネラル分が多いので、その補充になると考えられています。

 ただ、実際にはカリウムなどの含有量はコーヒーや緑茶の方が多く、塩分もほとんど含まれていないので、汗で失われた塩分やミネラルの補給に十分とは言えません。そこで麦茶を熱中症予防に使う時には、お塩を少し入れたり、梅干しを少し入れるような工夫が、効果を高めるのでお勧めです。

 最近の研究では熱中症だけではなく、冷房での体調不良にも、皮膚の血流を改善することで効果があるようです。夏には確かに麦茶は適した飲み物であるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

関連記事