男性も知っておきたい女性の病気

子宮筋腫<2>1時間の予定が5時間に…手術で痛みに苦しんだ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 情報機器会社に勤める河野有希さん(仮名=36歳)は、今年春、東京都内にある大学病院で、「子宮筋腫」の手術を受けた。腫瘍の大きさは約8センチ。「腹腔鏡補助下」による手術は、子宮口から切除用の内視鏡(レゼクトスコープ)を挿入して、子宮筋腫を取り除くものだ。

「私よりも手術には両親の方が心配をしていたと思います。孫の誕生を心待ちにしていたので出産に支障はないかと心配したのです」

「日本産科婦人科学会」の統計では、子宮筋腫は30代以上の女性の約20~30%がかかる女性特有の病気だ。

 原因は女性ホルモンの過多とされ、子宮を形成している筋肉の一部が増殖する良性の腫瘍である。

 手術は、すでに子供を持つ既婚者なら、性交渉が可能でも、自然分娩をあきらめる子宮の「全摘手術」。未婚の女性は、有希さんが希望したように、患部を切除する「腹腔鏡補助下」が手術の主流になっている。

 全身麻酔をかけられ、手術の所要時間は約5時間。輸血はしなかったが、出血量は約400㏄だった。

 手術3日後に排尿チューブやドレーン(排液管=体外にリンパ液や血液を排出する管)から解放され、廊下を歩くなど簡単な2日間のリハビリを受けた後に退院した。

 この種の手術は、平均1時間前後。ところが有希さんの場合は長く5時間もかかってしまった。

「術後、執刀医は、私の腫瘍が思ったより根深く、血流が豊富にあったこと。そのため出血量も多くなり、手術プロセス全般で時間が長引いてしまいました、と説明してくれました。私は仕方がないと思いましたが、母は“それにしても手術時間が長過ぎる。医療ミスではないか”と疑い、ひどく怒っていました」

 手術後、有希さんは数日間痛みに苦しみ、入院日数も予定より2日ほど延びたという。

「もともと痛みには強い方でしたが、寝られないほどの痛みに悩まされました。手術で時間がかかったことが原因だったのかもしれません。執刀医に手術前に告げられた時間内の手術なら、これほど痛い思いはしなくても済んだのかも、とは考えました。母は“話が違う”とひどく腹を立てていました」

 病院からは手術後少なくとも2週間以上の自宅療養を言われ、勤務先の情報機器会社には3週間後に復帰した。それから半年。有希さんは、術前の不愉快な出血や痛みからは解放された。

「手術で下腹部4センチほどの部分の皮膚周辺が、少し盛り上がっているでしょうか。しかし、想像していたよりも目立ちません。それで引く人はいないと思いますよ。もちろん、今回の手術で子供を産めなくなったわけでもありません。お医者さんも“大丈夫です。子供は産めますよ”と言ってくださいました。しかし、私はどこかすっきりした部分もあるのです。これからは自分の好きな仕事に打ち込もうと思っています」(おわり)

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