後悔しない認知症

若い頃から怒りっぽい人、威張る人ほど認知症の進行が速い

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そんな私が、長年、老年精神医学に携わってきて、認知症の進行について確信していることがある。それは、いったん認知症になると、若いころから怒りっぽい人、威張る人は認知症の進行が速いということである。当然のことだが、怒りっぽい人、威張る人は、人がだんだんと寄り付かなくなる。他人が寄り付かなくなれば、コミュニケーションの機会は減る。他人の話を聞いて、自分の意見を言う機会も減る。つまり、他人の話=情報の入力、自分の発言=情報の出力といった脳を悩ます機会が減るわけだ。

 自分の周りの人に照らし合わせて考えてみればいい。学校の先輩、定年退職した上司、親戚でもいい。怒りっぽい人、威張る人との関係は、いつの間にか疎遠になってしまうはずだ。そんなふうに周りから敬遠される人間は、認知症の早期発症のリスクが高まると言っても過言ではない。

 だから、あなたの親が認知症と診断されたら、まずは家での楽しい会話、知人との快適な交流を減らさず、機嫌よく生きてもらうことを心掛けるべきだ。コミュニケーション機会の減少は、認知症を進行させるのである。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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