年末年始は一年で一番太る時期です。仕事始めで「2~3キロ増えた」とお腹をさすり苦笑いする中高年は少なくありません。
改めて言うべきことでもありませんが、太るのは簡単です。ご飯やパン、麺類などに多く含まれる糖質をたくさん摂取するだけでいいのです。すると分解されたブドウ糖が血液中にあふれます。その多くはエネルギー源として使われますが、余ったブドウ糖はインスリンの作用で中性脂肪に形を変えて脂肪細胞に取り込まれます。これが肥満のメカニズムです。ですからクリスマスにケーキやジュースを、年末にラーメンやそば、お寿司などを、お正月にお餅やおせち料理をしこたま食べ続ければ、太るのは当然なのです。
それでも若い頃はちょっと運動したり、食事を制限したりすればすぐに元に戻りました。しかし、年を取るとそうはいきません。それはなぜでしょうか?
そもそも人間の体は年齢に関係なくやせにくいようにできています。ダイエットにチャレンジした人ならお分かりいただけると思いますが、どんなダイエット法でも始めれば大抵はやせます。しかし、順調に落ちていた体重はある日ピタリと止まり、1~2週間の停滞期が続きます。その後また減り続けてまた停滞期を迎える。その繰り返しです。
これは体重が減ることを生命体の危機と感じ取り、代謝を上げる甲状腺ホルモンの分泌を抑えることで基礎代謝を落とし、エネルギーを使わない方向へと働くからです。それでもあきらめずにダイエットに励めば、またやせていきますが、大抵の人はある時期にダイエットをやめてしまいます。
年を取るとさらにやせにくいのは、基礎代謝量が減るからです。例えば30~49歳の平均的男性の場合、基礎代謝量は1530キロカロリー、女性の場合は1150キロカロリーですが、70歳を越えると男性は1290キロカロリー、女性は1020キロカロリーとなります。
ところが食欲は基礎代謝が衰えた分だけ消えるわけではありません。一食の量が少なくなり、「若い頃に比べて食べられなくなった」と言う人がいますが、よくよく話を聞いてみるとおやつとしてお菓子などを口にしている人は少なくありません。
こうしたちょこちょこ食いは「下手に我慢してドカ食いするよりもいい」のですが、それで満腹となり食事の量を減らすようになると栄養バランスが崩れてしまう危険性があるので、注意が必要です。
もし間食するなら、お菓子などの糖質が多いものを避け、ソーセージやチーズなどの糖質の少ないものにしましょう。
ドクター牧田 最強の食事術