「子供に行き過ぎた除菌は必要ない」免疫学の専門家が指摘

腸内細菌の種類は3歳までに決まる

 われわれの生活環境には、あらゆる所に無数の細菌が存在している。ただ、そのほとんどが無害なもので、人間に害を与えるような病原菌はごくわずかしかいない。3歳までの間にそうした無害な細菌といかに共存できるかが、免疫機構の強化に密接に関係しているのだ。

 実際、スウェーデンの研究グループは「手洗いよりも細菌を減らす効果が高い食洗機を使っている家庭の子供は、アレルギー発症リスクが2倍になる」と報告している。また、「子供が乳児期からペットを飼っていた家庭は、まったくペットに触れていなかった家庭に比べ、アレルギー疾患の発症が約16%低い」というデータもある。ペットを介してさまざまな細菌と接触する機会が多い分、免疫機構が鍛えられるという。

 日本の国立成育医療研究センターによる研究でも、2歳までに一回でも抗菌薬を使用したことがある子供は、5歳の時点で気管支ぜんそくになっているオッズ比が1・72、アトピー性皮膚炎が1・40、アレルギー性鼻炎が1・65といずれも高かった。2歳までに抗菌薬を使って腸内細菌が乱れたことが、アレルギー疾患の発症に影響した可能性が指摘されている。

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