原因は強い牽引力に前腕の手のひらを下に向くよう回転させる力が加わったことで、2本ある前腕の長い骨の1本である、橈骨の端にある円盤状の部位(橈骨頭)を取り巻く輪状靱帯がはずれかかっているためです。脱臼とは関節を構成する骨同士の関節面が正しい位置関係を失っている状態を言います。亜脱臼は、一度何らかの原因によって、脱臼を経験した部位が、治療後も軽度な力が加わっただけで、脱臼を繰り返してしまう病気のことですが、肘内障で橈骨頭が亜脱臼することがあります。
診断は比較的簡単です。腕を引っ張られたという状況と肘関節の外側を押して痛みを感じるようであれば「肘内障」が疑われます。
なお、状況によっては「肘関節周辺骨折」あるいは「鎖骨骨折」が疑われるケースがあり、鑑別が必要です。一般の方は、なぜ「鎖骨骨折」が疑われるか不思議に思うかもしれません。実は、転倒して手や肘、肩を打ったときには「介達外力」といって、接地した部位に直接損傷を与えるのではなく、体内組織を通じて別の部位に作用する外力により、一見無関係に見える鎖骨が骨折することもあるのです。
心当たりのある場合は自己判断せず、まず医療機関に相談してください。
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