「先生、アソコに小さなブツブツができています。何か病気でしょうか」と来院される若い女性が少なくありません。「アソコ」とは女性器のことですが、彼女たちがよく気にするのは小陰唇の内側(膣前庭)にほぼ左右対称にできる径1~2ミリほどの多発した乳頭状の突起物です。
性器にブツブツができる性感染症としては、男女ともにまず「尖圭コンジローマ」を疑わなければいけません。先のとがった小さなイボがたくさんできて、鶏のトサカ状やカリフラワー状に成長する病気です。
しかし、膣前庭に小さなブツブツができる症状には「膣前庭乳頭腫症」もあります。これは病気や性感染症ではなく、生理的変化による現象です。日本人女性の20~30%に見られるとされます。痛みやかゆみなどの自覚症状はなく、突起物の数や大きさは変わることがあり、放置しておいても問題はありません。
このような生理的変化による性器のブツブツは男性にも見られます。亀頭の冠状溝(カリの部分)に沿ってできる乳頭状の小さなブツブツです。これは「真珠様陰茎小丘疹」と呼ばれ、日本人男性の約40%に見られるとされています。
■便秘や多産の影響も
いずれにしても一般の人では生理的変化によるブツブツなのか、尖圭コンジローマのイボなのか判断が難しい場合があります。
膣前庭や亀頭の冠状溝のブツブツが大きくなったり、数が増えたりするようなら婦人科や泌尿器科、性感染症の専門医を受診して鑑別してもらった方がいいでしょう。
生理的変化によるものであれば治療は不要です。美容上(見た目)などで患者さんが摘除を強く希望する場合には、電気メスやレーザーを使った手術が行われることがありますが、あまりお勧めできません。
女性器の尿道口にできる病変には「尿道カルンクル(尿道肉阜)」と呼ばれるものもあります。
これは更年期以降の女性に多い良性腫瘍で、尿道口からはみ出すように大豆くらいの大きさの赤い比較的やわらかい腫瘤(しゅりゅう)ができます。
原因は不明ですが、便秘や多産などが関係しているのではないかという指摘もあります。
小さいものでは症状がない場合もありますが、触れて破れると出血し、痛みがあります。排尿後にティッシュに血が付いて気づくことが多いようです。
症状が軽度なら塗り薬で治療しますが、大きくなって尿道口を塞いだり、出血や感染などを繰り返すようなら手術で切除する場合があります。
専門医が教える パンツの中の秘密